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近年、IT（情報技術）系企業を中心に採用されているのが、「オープンフロア・オフィス」です。これは、オフィス空間に間仕切りを設けず利用するものです。一部企業では、社長室さえ廃止して、一般従業員と同じフロアで執務している場合もあります。

「オープンフロア・オフィス」の利点
「オープンフロア・オフィス」の利点は、従業員間、管理職と従業員のコミュニケーションの活発化、執務スペースの環境向上、ユニバーサルデザインへの対応などが挙げられます。何しろ、仕切りがないため自分だけの空間にこもることができません。コミュニケーションが増えるのは当然の成行きといえます。

「オープンフロア・オフィス」は、近年話題となっている企業のガバナンスにおいても有効です。開放空間であるために不正行為を行いにくくなり、従業員への抑止力が働くからです。残業削減にも有効です。定時になったら互いに声をかけることができますし、その段階で残っている仕事は分担して終えることも容易です。社長が同じフロアにいるため、管理職からのパワハラ、セクハラなどの防止にも役立つことでしょう。

「オープンフロア・オフィス」を導入するには、一定の面積を持つワンフロアの構造が必要です。しかし、そのような物件を保有することが難しいこともあるでしょう。その場合には、「区分所有オフィス」を取得するという方法もあります。

一方で、「オープンフロア・オフィス」では生産性が向上しないという研究結果もあります。物理的な障壁を取り除いただけでは、従業員間のコミュニケーションは必ずしも増えないということのようです。ある程度、集中して業務を行いたい場合にマイナスであるという意見もあります。

大切なことは、それぞれのメリット・デメリットをよく検討し、自社における適切なレイアウトを検討することです。たとえば、部署間の「ファイヤウォール」が必要な業種では、「オープンフロア・オフィス」はマイナスの効果しか生まないでしょう。

「オープンフロア・オフィス」が適した業種
オフィスの間仕切りを取り払った「オープンフロア・オフィス」が適している業種は、どのようなものでしょうか。

まず、営業職のように従業員の出入りが頻繁な業種では、在席状況をすぐに確認できます。そもそも、管理職と従業員の間の距離が近い中小企業では、「オープンフロア・オフィス」は自然なことかもしれません。

また、「オープンフロア・オフィス」のメリットとして、間仕切りなどのコストを削減できることや、フロアあたりの収容従業員数を増やせること（これもコスト削減につながります）もあげられます。

半面、「オープンフロア・オフィス」が適していない業種の一つとして、システム開発があげられます。それぞれがパソコンに向かって集中する必要がありますし、仕事のペースは「人それぞれ」だからです。従業員間のコミュニケーションは必要ですが、それはオープン式のリラックススペース（カフェなど）で代替することが望ましいでしょう。

米国のGAFA（グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン）のような最先端のIT（情報技術）企業でも、従業員はそれぞれの専用ブースで仕事をするスタイルです。ただし、パーテーションは比較的低く、立ち上がればフロア全体を見渡せる高さになっています。別途、カフェなどのスペースも用意されています。

これらを鑑みると、「オープンフロア・オフィス」にした場合でも、プライバシーに配慮すること、それぞれが集中して仕事に打ち込めるスペースを確保することが理想的であるといえます。

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